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騙す犬①
B 「俺はこのまま隠居でいいっすよ」

後輩のBは言った。

Я 「へぇ」

 どうやらサークルでのことを言っているようだ。私も彼も第一線から退いており、時には後輩の手際の悪さにヤキモキしていた。しかし、偉大なる先輩達の中にはそれを指導したがる連中もいる。そういった馬鹿者達の脅威に晒されたからか、彼は後輩の邪魔をしないように静かに部活の余生を送る、そう言っているのだ。正直Bに関しては後輩に口を出したがるのではないかと思っていた。しかし、本人がそう言ったのだ。私は彼も大人になったな、と感じたが、俄かには信じられない。ちょっと試してみた。

Я 「じゃー来年の合同演奏会とかどーすんの?」

 私のサークルは地震の演奏会とは別に他の団体と合同で行う演奏会がある。それには我がサークルを引退した者が、その合同演奏会の舵を取るという慣習があった。

B 「いや、俺はもう日の当たらない所で部活をしていきたいんすよ」

 なんと達観した台詞であろうか。いや、達観した振りをしているというべきか。後輩に口を出さないというのはわかるが、自分が運営できるイベントにも関わらないというのは格好つけ過ぎであろう。さらに挑発コメントしてみた。

Я 「へー、俺はBは絶対口出すと思ってたんだけどなー。てか出すでしょ?オメーは」

 Bは私の挑発コメントにムッとしたようだった。

B 「いや、別になんにもしないっすよ。もーいいっすよ」

 あ、ふてた。なぜにふてる?私にそういう目で見られたことが不満か?まぁいいやとりあえずフォローしてみよう。

Я 「へー、代表とかしないんだ?」

B 「しないっす。もーいいっすよ」

Я 「そっかー。もったいないなー。実はねウチの代の中じゃ、けっこー期待してたんだよね。いやね、毎年さ、代表の器っつーの?ある奴のいる年といない年があってさー。去年はHがやったけど、その前とかはなんかモメたらしんだよ。で、今年はBがいるから安心?みたいな。俺らはそういう感じで見てたんだけどなー」

 100パーほぼ嘘である。とっさにこんな嘘がつけるなんて・・・母さん、世知辛い世に揉まれ、息子は騙される方から騙す方へ足を踏み出そうとしています・・・

B 「まじっすか。へー先輩達はそんな感じだったんだ・・・」

 嬉しそうなB。単純なかわいい奴だ。代表の器という単語に魅せられたか。しかし、次にBが発した言葉は俺の予想を遥かに上回っていた。

B 「実は、もうT(指揮者、Bとタメ)には話してあるんすよ。俺が代表するから、お前は指揮しろって」


もうやる気満々じゃねーか。


 勢いで代表やるって位は言うと思っていたが、まさかすでに行動を起こしていたとは・・・てかそのつもりなら達観したような台詞を吐くな。
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病んだ犬
 私があるサークルの代表をやっていた頃。あまりの周囲の関心の少なさに皆にアンケートを取ってみたことがあった。だいぶ昔なので結果を外に出しても良いだろう。

問題
目の前で人が大変な仕事をしていたらあなたはどうしますか?
次から選んでください。


 えーと・・・なんと病んでいる質問だろうか。昔の自分が痛い。痛すぎる。助けて欲しい度100%でである。なぜにこんな屈折した援助の求め方をするのか。全く理解できない。何事も素直に言えばいいものを・・・まぁいいや。下が結果をまとめたものだ。


・もちろん助けます!!

あ、ありがとうございます(涙)当時の私なら抱かれていたかも知れん。



・自分に助けられることなら助けます。自分に時間があれば助けます。でも怖そうな人だったりしたらみて見ぬふりをしてしまうかも。やはり仕事の内容によるかもね。自分がスカートでドブさらいをしろと言われても無理だ!できそうな仕事なら声をかけて手伝うけど、できなそうなことなら声もかけないでその場を去ると思います。

・・・なぜに無理なことの例がスカートでドブさらいなのかね?



・自分の答えですが、基本的に仕事は手伝いません。だって自分の仕事をほっぽりだしてまで、そんなことをする必要はないのではないかな?かるく『がんばってね』とか言うくらい。でも、自分の仕事に支障がないようならばもちろんに手伝いますよ。なんかプレッシャー感じる質問だなぁ...

正直な回答である。自分と相手の兼ね合いを考えるという打算かあるが、現実はこんな感じじゃないかと思う。



・たぶんとりあえず声はかけるかなぁ・・・。助けるかどうかはそれから。
・とりあえず声をかけてみます。
・とりあえず、助けるとは思いますが、やっぱ相手によるかな~・・・!?(急がしい時は無視するかも)でも、まぁ、とりあえず、声はかけると予想。


こんな傍観者チックな回答者が結構多かった。



・まったくもー、めんどくさいなぁ。そんなのほっとくでしょ。フリかもしれないのに。

出た。

人間嫌い。こんな人間が身内にいるとは。。。



・見えないところで気付かれないように援護するだろうなぁ。でも、メガネかけた女の子だったら自分の仕事放り出しても助けちゃうだろうなぁ。

おおーい!?

条件付きかよ・・・しかも、応援の仕方がいやらしい・・・人間嫌いとか全然問題じゃなかった。

・・・
・・


ううむ・・・身内(部内)に人間嫌いがいるくらいは予想できたが、まさかメガネ属性が潜んでいるとは・・・人間の趣向の奥深きことよ。てか、身内のアンケートなんで面割れてんですけど・・・


素直が一番と書いたが、あまり素直すぎるの良くないかも知れぬ・・・

払う犬
3月12日・・・

 あ、600円しかない。この店でラーメンに梅干をつけるには700円必要だ。いつもは600円のラーメンだが今日は特別な日だ。3月12日・・・でかい演奏会が終わった日である。いつも通りのラーメンじゃー豪華さに欠ける。私は財布から千円札を出して食券の自販機に入れた。おつりの300円を持って席につく。infoberを見る。18:53だ。それをポケットには仕舞わずに机の上に置く。時刻を確認するためだ。

(ま、7時ぴったりには始まんねーだろーけどね)

infoberはの表示は18:59に変わっていた。すると、目の前にラーメン梅干入りが出される。まだ59分もうちょっと・・・。箸を割り、レンゲをスープに浸して静かに待つ。一瞬従業員と目が合ったような気がするが気にしない。・・・もうちょ・・あ、19:00だ。私は箸を持ったまま手を合わせる。

(いただきます)

・・・
・・


(さーて、どうしよっかな)

 みんなにはレポートを書くって言ってある。いや、実際にレポートはあるのだが、どーもそんな気分雰囲気じゃないが、とりあえず自宅へ帰ってきてみた。リビングを素通りして自分の部屋へ。鍵、財布、携帯をポケットから取り出してベットの上に順に投げ、36インチWEGAの電源を入れる。

(いつもとぜんぜん変わんねーな)

 いくら大イベントの後でも普段の生活習慣は変わらないらしい。とりあえず棚によりかかるようにしてコタツに入った。目の前には伊右衛門、生茶、烏龍茶の空のペットボトルが散乱している。実は相方に合わせて買っているお茶類だ。さすがにファンタグレープとか言えない

 私はペットボトルを適当に片付けて出来たスペースにPCを置いて電源を入れた。デスクトップには大量のショートカットがある。全て演奏会関係のものだ。これらはもう使うことはないだろうと思い、全てまとめてHDDの奥へしまった。時間は19:51。

(しょうがないやるか・・・)

 今日添削してもらったばかりのレポートの直しに取り掛かる。幸い大幅に訂正するところもなく、サクサクっとキリがついた。時間はまだ20:40だ。この時間ならば1次会が終わるか終わらないかってとこだろう。まだ早い。なぜか私は打ち上げに参加するのを躊躇っていた。色んな事情があるが、なんとなく打ち上げの場にいたくない・・・というより、そういう関わり方もアリなんじゃないかと思っていた。自分でもよくわからん。というわけで私はパワプロをもちろんレポートの続きを始めた。

 23:02になった時、私はそろそろ3次会くらいだろうと思って、ウインド代表に電話をかけた。とりあえず今パワプロがレポートが終わったという事にしておこう。

Я 「おつかれーっす」
H 「おー、おつかれー。終わった?今、こっちは3次会場へ移動してるとこだよ」
Я 「そっか。じゃあ今から行くわ」
H 「おぅ。待ってるぜぃ」

多少良心が痛んだが、勘良く3次会開始の時間に合わせることが出来た。

(さてと・・・)

私は会場に向かった。

・・・
・・


会場到着。部屋の入り口には後輩のYとBがいて人数確認をしていた。

Я 「よぉ、お疲れ」
Y 「あ、Яさん2000円です
Я 「(ちっ、お疲れもなしかよ) はいよ。」
Y 「どもー」

 さすがに3次会ともなるとテンションが低い奴と高い奴に分かれてくる。Yは高い方のようだった。私は席に着きメニューを見ながら隣の奴と熱い会話をしていた。そのとき・・・

Y 「誰か会費払ってない人はいませんか~」

どうやら、一人分の会費が足りないらしい。

Y 「Яさんて払いましたっけ?
Я 「(おいおい・・・) 払ったよ。なあ?」
B 「ええ。Яさんは払ってたよ」
Y 「あれ~?そっか・・・」

 どうやら、本当に忘れているらしい。私は支払済みということを主張した。しかし、いくら時間が過ぎても未納者は出ず、料理は運ばれてこない。

Y 「あれ?Яさんてホントに払いました?
Я 「!!・・・・・・払ッテナカッタカモシンナイ」
Y 「はは、でしょー

なにが「でしょー」か。

この酔いどれ幹事め。私は血を吐く思いで肯定した。これ以上は待ってられん。

B 「あれ?やっぱりそっかー」

おまえもか。

 私は泣く泣くもう2000円を払った。料理はごく普通のものだったが、私は2倍金を払っているため、皆の2倍の飲み食いを試みた。しかし、19時きっかりに摂取したラーメン梅干入りのため、それも叶わずスクリュードライバー1杯という洒落にならない結果に終わった・・・まさか一人打ち上げの弊害がこんな形で現れるとは・・・

 演奏会がどうこうよりも3月12日の出来事はそれに尽きる。私は声を大にして言いたい。


酔っ払いは幹事をしては駄目。

貫く犬
 以前、ブランディングをした時からボディアートに興味を持ち始めた。このボディアートというのはわかる人にはわかるがわからないひとには全くわからないという芸術(?)である。私もそれまではわからない側の人間だった。しかし、ブランディングによって私の考え方は変わり、それ系のサイトをウロウロするようになった。そしてボディピアスを知る。知った時は別に自分でしようとは思わなかったが、インパクトが相当あったことを憶えている。
 ある時あるサイトでボディピアスの体験談を読んだ。それは舌にピアスをした女性のもので、驚くほど痛くなかったというものだ。調べてみるとそういった体験談は多いことがわかった。どうやら舌の中心付近は痛点がないらしい。私はその時これだ!と思って、ピアスのHow toを勉強し始めた訳である。(勉強と言ってもサイトをウロウロするだけ)
 そこから必要な器具類を揃えるのにあまり時間はかからなかった。揃えた物はピアス、ニードル、リステリン、タオル、鏡等である。やり方は簡単だ。ニードル(すげー鋭い針、φ1.6mm)で舌に穴をあけてピアスを入れるだけという単純な作業なので後は本人のやる気しだい。
 10月の某日決行の日が来た。まずはうがいだ。リステリンの原液を口に含み1分待つ。これが結構強烈・・・。で、鏡の前で舌をべーと出してみる。以外にも下には伸びるのに前には伸びないものだ。マジックでマーキングを試みるが、所詮はその辺に売っている油性マジックである。全然マーキング出来ずに変な味がしただけで終わる。まぁいいかと思って、いざニードルを手にする。

(怖ぇ・・・)

 少してが震える。痛くない(たぶん)とわかっていても自分で自分の舌を針で貫くのは相当な恐怖だ。小一時間部屋をウロウロしてしまった(やはりビビッてる)。
 そして覚悟を決めた。ほとんど勘で舌の中心にニードルを当てる。そこで止まると恐怖が増すだけなので、間髪入れずにニードルを押し込む。

ブヅッ

 と、音はしていないだろうが、自分の手が感じた感触はこんなカンジだった。舌というものは、思ったより外皮(?)が硬く、弾力があり、ニードルを突き刺す瞬間と突き通す瞬間の2回、ニードルが薄皮を「ぷつっ」突き破る生々しい感触がしっかりと手に残った・・・。
 なんとかニードルを通したものの、ここからが大変だ。舌を出したまま、ピアスを入れなければならないが、その作業が思ったより難しい。しばらく四苦八苦している内に、なんとニードルが抜けてしまった。慌ててピアスを押し込んでみるが、後の祭りである。なんと、ものの数秒で穴は塞がってしまった。ホントかよと思うかもしれないがホントである。ニードルはそれだけ鋭い。とにかく必死の覚悟で空けた舌の穴が消えた訳である。もーその時は怒りだか悲しみだかわからないがテンション上がりまくりだった。悩む前にいってしまえと言う感じで、同じニードルを使って適当に一気に舌を貫いた。(注:ニードルは使い捨て品です。)そこでまたもやハプニング発生。口の中で妙な味が・・・

(うゎ・・・だ・・・)

だくだく。。。(←結構な量)

(なぜだ・・・1回目は出なかったのに・・・)

 しかし、ここで諦める訳にはいかない。口の中と机の上と手を血だらけにしながら、本日2回目のピアスとの格闘である。この際、出血は気にせず、結構慎重にピアスを舌に押し込んでいった。

・・・
・・


 そして、ついにピアスを通すことに成功。私は血だらけでガッツポーズをした。実際、血は出たものの、もともと痛くない箇所だったのか、ある種の興奮状態だったのか痛みはほとんどなかったと思う。
 ピアスを入れてしばらくすると舌が腫れてきた。痛くはないのだが、妙な違和感がある。うまく舌を動かすことが出来ないので、呂律が回らないし、食物もうまく食べられない。3日くらいは固形物はほとんど食べることが出来なかった。しかし、5日目くらいから腫れは引き始め、1週間ほどで違和感がなくなり、多少は活舌が悪くなったものの、不自由はたまにピアスを噛むことくらいである。
 その後は日常生活においては全く支障がないと言ってもいい。絶対に吹けなくなると思っていた楽器もなんと吹けてしまった。舌にピアスをしている管楽器奏者などそうはいないだろう。最初の頃は会う人会う人に見せていたが、ほとんどの人のリアクションと、さらには次の質問まで一緒なのでメンドーなって人に見せるのをやめた。
 私はこのピアスをして本当に良かったと思っている。愛着も沸くし、満足感もあるからだ。こういう気持ちを持ち続けることが出来るならば、別の場所にピアスを増やしていくのもいいかもしれない・・・。
 しかし、何年か後に私はこのピアスをはずすことになる。その話も長くなるのでまた機会があれば・・・。
焼く犬
 私の左手の甲を見たことがある人は知っているかもしれないが、私の左手の甲には十字型の火傷の痕がある。これは不慮の事故でついたものではない。自分であえてつけたのだ。
 この傷をつけたのは記憶が定かではないが、確か2002年の夏休み前だったと思う。そのころ、ある事が原因で(この詳しい話は機会があれば)ある女性を傷つけてしまった。まぁ、そのことをキッカケにして自傷したかっただけだと思う。
 とにかく、その『ある事』があった日から少したってだと思うが、なんとなく自傷に走りたくなった。実は最初は手の平を・・・えーと、千枚通しというのだろうか?・・・それで貫こうと思っていたのだ。なぜかと言えば、たまたまそれが目に付いたそれくらい自分が許せなかったからだ。しかし、当時は定期演奏会の練習も本格化してきたところで、そんなことをすれば楽器が吹けなく(握れなく)なるという思いが頭をよぎった。・・・今考えれば、そこで自分の吹奏楽人生に終止符を打つのも良かったかもしれないが・・・。ともあれ、多少なりとも冷静さが残っていた私は、左手の平に向かって、それを振り下ろす直前で思いとどまった。たぶんビビッてた
 しばらく考えた後、他にアイテムがないか部屋を探す。目に付いたのがアルミの針金だ。そこで俺が思いついたのがブランディング(焼印)ってやつだ。なにかの本で読んだことはあったが、まさか自分でやることになるとは思わなかった。このブランディングというのは過激なボディアートの一種で、和名のとおり、熱した金属(主に何かを形取らせることが多い)などで表皮より下の脂肪あるいは真皮に達する程の焼印(つまり火傷)をつけることである。真皮に達する程の火傷のため、痕が消えるまでに何年もかかったり、痕が一生消えないこともある。
 私は、拾ったライターのガスの残量があるのを確認した。ラジオペンチもあったし針金で早速形を考えた。しばらく考えて、作るのが簡単そうな一生自分の罪(十字架)を背負うという意味で、十字型を作った。場所は右手で型を押し付けるため、左手の甲にすることにした。甲だったら物を握ることも出来るだろうと考えたのだ。消毒液は無かったが、冷水は用意し、準備OKである。当たり前だが、手元にマニュアルなど無い。もう勢いのみである。とりあえず、ラジオペンチで型を持ち、ライターで熱する。冷静なつもりだったが、手がカタカタと震え出し、嫌な汗も出てきた。ただ、止めようという気は無かった。(罪の意識の成せる技?)型を熱しながら、手の甲のどこに痕をつけるかを考えていたが、それについて一つ心配なことがあった。それは、血管の事である。おそらく、血管は真皮の中にある為、余程深い傷をつけない限り血管には問題ないが、手の甲は皆さん御自分の手を眺めて頂ければ分かるだろうが、脂肪が無い。手の甲に血管が浮き出ているのも分かる。つまり、表皮の下がすぐ真皮なので、あまり強く型を押し付けてしまうと傷が真皮の中にある血管に達してしまうかもしれないのだ(やはりビビッてる)。そういったことも考え、あまり血管の見えない手の甲でも小指の下あたりにすることにした。

 ・・・考えているうちに型を熱してずいぶん時間がたった。心臓の鼓動は自分の耳に届くほどに感じられる。俺は覚悟を決め、震える右手で、もう十分熱を持ったであろう自ら灼くその型を左手の甲に落とした。

・・・・その瞬間、よく聞き覚えのある音がした。
・・・・「ジュッ」という『肉の焼ける音』だ。

「っ・・・・・・・・・・・!!!!!!」

 俺は大声で叫びたいというのと左手を振り回したいという衝動を抑えた。そして、次の瞬間、右手で持っていたラジオペンチを使い、型を左手に押し付けた。今度の音は今でも鮮明に憶えている・・・・。最初の音より大きく生々しい「ジュワ!」という肉の水分が蒸発する音だ。詳細は違うかもしれないが、型はその熱ゆえに表皮を難なく溶かし(?)、さらに真皮にまで喰い込んだように見えた。
 私は冷水に手を浸しながら、顔を伏せ、自らの望んだ痛みに耐えた(自分に酔ってる)。そして傷を見る。手を冷水に浸しても一向に型が外れないということが、それが肉に『食い込んでいる』という事実を物語っていた・・・。俺は痛みに耐えながら手の甲からそれを引き剥がした・・・。

 それから、一ヶ月程(長かった)で傷は安定し包帯も取れた。勿論、痕は残っているがそれは承知の上だ。今では結構キレイな十字型が見て取れる。自分ではあまり気にしていないのだが、他の人から見ると目立つらしく、「どうしたの?」と聞かれることよくがある。そういう質問には、「自分でやった」と言うのだが、「なんで?」という質問にはあまり答えていない。説明が面倒だというのもあるが、時間のたった今、理由が薄れてきているからだ。
 ま、今では勢いに任せてもっとやばい方へ走んなかったので良かったかなぁと思う。・・・最近は傷が薄くなってるような気がする。傷をつけた理由が薄れたからか??
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